※本記事の内容は2026年8月時点の制度に基づいています。
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1. 必要書類は誰が用意する?全体像
興行ビザの必要書類は、大きく分けて本人(来日する演者)が用意する書類と、招へい機関(主催者・興行会社など)が用意する書類の2種類があります。
本人側の書類は、経歴書や活動実績を証明する資料など、「この人が本当にその活動を行う実力・実績を持っているか」を示すものが中心です。一方、招へい機関側の書類は、登記事項証明書や決算書、施設の資料など、「この機関が興行を主催・招へいするだけの実態と資力を持っているか」を示すものが中心になります。
興行ビザは、活動の内容や興行の規模、主催者の種類などによって、区分(1号イ・ロ・ハ/2号/3号)に分かれており、区分によって求められる書類の量・種類は変わります。特に1号ロ・1号ハ・2号のように「公益性」や「実績」を個別に立証する必要がある区分ほど、招へい機関側に用意してもらう資料が増える傾向があります。この記事では、まず来日前に行う「在留資格認定証明書交付申請」を主な想定として、区分ごとの書類を整理します。
2. 基準1号(イ・ロ・ハ)の必要書類
1号は「イ・ロ・ハ」の3類型に分かれており、書類の量も類型によって大きく異なります。
区分 | 書類の傾向 |
|---|---|
イ | 3類型の中では比較的シンプル。契約に基づく一般的な公演が対象。 |
ロ | 「公益性」か「短期間・高単価」を立証する資料が追加で必要。 |
ハ | 数値基準がないぶん、個別事情を説明する資料が最も多くなる。 |
1号イの必要書類
イは、風営法の対象施設以外で行う一般的な有料公演が対象のため、3類型の中では書類の負担が比較的軽くなります。
招へい機関(契約機関)が用意する書類の例
登記事項証明書
直近の決算書の写し
契約機関の概要を示す資料
経営者・常勤職員の名簿
経営者の興行業務経験を証する資料
対象施設が風営法の営業施設に該当しないことの申立書
過去の報酬支払い実績に関する申立書
公演日程表・チラシなど
本人が用意する書類の例
経歴書及び活動経歴を証する文書
出演施設の概要を示す資料
興行契約書の写し
活動内容・期間・報酬を証する文書
「申立書」が2種類出てくるのが特徴です。風営法対象施設ではないこと、そして過去にきちんと報酬を支払ってきた実績があることを、招へい機関自身の言葉で説明する書類だとイメージすると分かりやすくなります。
1号ロの必要書類
ロは、次の5パターンのいずれかに当てはまることを立証できるかどうかで基準をクリアする区分です。
国・地方公共団体・特殊法人が主催する興行、または学校での興行
文化交流を目的に、国・地方公共団体・独立行政法人の援助を受けた機関が主催するもの
外国の文化を紹介する目的で観光客を誘致する、敷地10万平方メートル以上の施設で常時行われるもの
客席で飲食物を有償提供せず接待も行わない施設(非営利運営、または客席100人以上)で行われるもの
報酬額が1日50万円以上で、30日を超えない期間のもの
当てはまるパターンによって、根拠として示すべき資料の重点が変わります。
招へい機関が用意する書類の例
登記事項証明書、直近決算書の写し
招へい機関の概要資料
従業員名簿
営業許可書の写し
施設の図面・写真
興行契約書の写し
本人・双方に関わる書類の例
経歴書及び活動経歴を証する文書
活動内容・期間・地位・報酬を証する文書
滞在日程表・興行日程表・広告やチラシなど
ロで特に重要なのは、「5パターンのどれに該当するか」を示す資料です。たとえば国・地方公共団体が主催する興行であれば主催者からの証明、報酬要件(1日50万円以上)で立証するなら契約書上の金額が分かる資料、というように、どのパターンで通すかによって重点を置くべき資料が変わります。
1号ハの必要書類
ハは数値基準がない受け皿の区分のため、3類型の中で最も資料が多くなります。「なぜこの興行が興行ビザに値するか」を、複数の角度から積み上げて説明する必要があるためです。
招へい機関(契約機関)が用意する書類の例
登記事項証明書、直近決算書の写し
概要説明資料
興行契約書の写し
具体的な活動内容・期間・地位・報酬を証する文書
経営者及び常勤職員の名簿
経営者の興行業務経験(3年以上)を証する資料
申立書
過去3年間の報酬支払い実績を証する資料
出演施設の運営機関が用意する書類の例
登記事項証明書、直近決算書の写し
概要説明資料
営業許可書の写し
施設の図面・写真
経営者及び常勤職員の名簿
申立書
本人が用意する書類の例
経歴書及び活動経歴を証する文書
ハでは、招へい機関に加えて出演施設の運営機関側にも別途書類が必要になる点がイ・ロとの大きな違いです。招へい機関と施設運営機関が別法人であるケースでは、双方から資料を集める調整が必要になり、準備に時間がかかりやすくなります。
3. 基準2号の必要書類
2号(スポーツなど演劇等以外の興行)は、1号のような数値基準が明記されていないぶん、実態を示す資料の組み合わせで判断されます。
招へい機関が用意する書類の例
登記事項証明書、直近決算書の写し
従業員名簿
興行施設の営業許可書
施設の図面・写真
(請負契約がある場合)請負契約書
本人が用意する書類の例
経歴書及び活動経歴を証する文書
雇用契約書または出演承諾書
双方に関わる書類の例
滞在日程表・興行日程表・広告など
2号は書類の構造自体は1号イに近い印象ですが、「演劇等以外の興行」であることを示す資料(大会要項、対戦相手・主催団体の情報など)を状況に応じて追加する運用になっていると考えられます。
4. 基準3号の必要書類
3号(商品・事業の宣伝、放送番組・映画製作、商業用写真撮影、商業用レコード等の録音録画)は、「興行」ではなく「芸能活動」を対象にした区分のため、公演日程表のような書類ではなく、活動実績そのものを示す資料が中心になります。
本人が用意する書類の例
芸能活動の実績を証する資料(CD、ポスター、新聞記事の切り抜きなど)
受入れ機関が用意する書類の例
登記事項証明書、直近決算書の写し
従業員名簿
案内書(パンフレットなど)
双方に関わる書類の例
雇用契約書または出演承諾書
滞在日程表・活動日程表など
3号は「観客の前で興行を行う」区分ではないため、施設の図面や営業許可書といった施設関連の書類が基本的に不要になる点が、1号・2号との大きな違いです。そのかわり、CDや掲載記事など「これまでどんな活動をしてきたか」を客観的に示す資料の比重が上がります。
5. 在留資格変更・在留期間更新の場合は?
すでに日本にいる方が別の在留資格から興行ビザへ切り替える「在留資格変更許可申請」では、区分(1号イ・ロ・ハ/2号/3号)ごとに必要な書類に加えてパスポート及び在留カードの提示が必要になります。
すでに興行ビザで在留している方が、活動を継続するために行う「在留期間更新許可申請」では、書類の中心が「これから何を行うか」から「これまで問題なく活動してきたか」に変わります。共通して必要になりやすい書類の傾向は次のとおりです。
パスポート及び在留カードの提示
在職証明書または雇用契約書の写し
興行契約書の写し
住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書
活動日程表
新規の認定証明書交付申請ほど資料の種類は多くありませんが、納税証明書など「在留中の実態」を示す書類が新たに加わるのが特徴です。
6. まとめ
必要書類は区分(1号イ・ロ・ハ/2号/3号)ごとに異なり、特に1号ハのように数値基準がない区分ほど、立証のための資料が多く・準備に時間がかかる傾向があります。招へい機関・出演施設運営機関・本人の3者にまたがって書類を集めるケースもあるため、関係者が複数にわたる興行ほど、早めに書類の分担を決めて動き始めることが重要です。
(出典: 法務省出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
基準1号イ https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/10_00165.html
基準1号ロ https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer02.html
基準1号ハ https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer01.html
基準2号 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer03.html
基準3号 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer04.html )
監修: ナユタ行政書士事務所 高木泰子
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